読売新聞 ワインニュース 「驚くべきフレッシュ感、アルフレッド・グラシアン1990年」 (2012年10月18日)(記事はすでにサイトからは削除されています) 「シャンパーニュの一次発酵をすべて小樽で行う数少ないメゾン、アルフレッド・グラシアンの販売部長オリヴィエ・デュプレ氏が来日し、ミニ垂直試飲会が行われた。
エペルネの街中に本拠を置くアルフレッド・グラシアンは1864年に創業。ジェジェ家4代目のニコラが2007年から醸造責任者を務める。一次発酵に小樽しか使わないネゴシアン・マニピュランは、クリュッグとここだけ。協同組合シャブリジェンヌから購入した4~5年落ちの228リットルの樽を20年程度使用する。年間生産量は30万本。
使うブドウの62%は一級と特級畑。自社畑比率は25%と高くはないが、100年以上続く栽培農家との関係から、優れたブドウを購入しているという。一番搾りのキュヴェのみを使い、区画ごとに醸造する。伝統的な手法にこだわり、瓶内熟成に使うのは天然コルクのみ。長期熟成を目指すため、マロラクティック発酵は回避する。
試飲したのは1999、98、97、90年の4ヴィンテージ。99の希望小売価格は1万2000円。99のブレンド比率はシャルドネ63%、ピノ・ノワール17%、ピノ・ムニエ20%。ややオークのニュアンスを感じるが、熟した果実を感じさせ、ナッティでクリーミィ。98年は酸が高く、スムーズな舌触りとミネラル感。97年は丸く、モカや白トリュフの香りがはじける。今が飲みごろ。
驚いたのは90年のフレッシュさ。シャルドネの美点を存分に引き出した切れ味、繊細さに、熟成がもたらす優雅な調和と星屑をちりばめたような複雑さ。外観も若々しく、メゾンの実力を示した。
「天然コルクは王冠と違って、ゆっくりと熟成が進む。マロラクティック発酵をしていないので、フレッシュな酸が保たれている。小樽で一次発酵させることで、酸化に強いワインが生まれる。それらがきれいに熟成する理由だ。99年は98年より暑く、果実が熟した。今飲んでバランスが良い」とデュプレ氏。」 |