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張本vs江川問題とダルビッシュ移籍についてのLA Timesの記事 (2010年6月23日)

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日本の最多安打記録保持者の張本勲氏とジャーナリストの評論家の江川紹子氏がテレビでの論争を機に、江川氏が番組を降板させられたという事件があった。

これは、5月23日TBSのサンデーモーニングで、100球で降板した楽天・岩隈投手に対して張本氏が「最後までマウンドを守るのがエース」などと精神論を説いたのに対し、岩隈投手のファンでも知られるコメンテイターの江川氏が異を唱えたところ、放送後、立腹した張本氏側から江川氏を番組に出さないように要請があった、というものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張本氏からしてみれば、門外漢の女性から自らの信条をけがされたような気がしたのだろう。しかしメジャーリーグでは張本氏のような精神論は少数派であり、投手の肩は消耗品だから、球数制限は必要というのが圧倒的多数派である。

それに関連して先日のLA Timesにダルビッシュ有投手のメジャー移籍に関して、ドジャースの黒田投手のコメントが掲載されていたのがタイミング的に興味深かった。

それは、投手陣、特にブルペンが手薄のエンゼルスには誰がトレード候補としてふさわしいかという記事の一部分なのだが、そこでダルビッシュの移籍の可能性について触れている。

要は、すごい投手だが、ちょっと投球過多で、肩を消耗しているのでは、ということをにおわせているのだ。新聞記者ですら、投球過多は懸念すべき事態というのが共通認識なのだ。この新聞記者と張本を対談させてみたいものだ。

LA Times(2010/6/20)より 

「ダルビッシュ有(23)はWBCにおいては13イニングスで20個の三振を奪った日本球界の天才投手で、もしメジャーリーグへ移籍をするとしたら、ヤンキースとレッドソックス間で猛烈な入札競争を巻き起こすかもしれないと思われている世界的なプレーヤーである。

ダルビッシュは昨年のパ・リーグのMVPで、同リーグで最も高給取りのピッチャーでもあり、年俸は3億円(約3.3ミリオンダラー)だ。

しかし、日本のウェブサイト(npbtracker.com)によると彼は今シーズン、先発して135球以上投げた試合が6試合もある。ある試合では150球投げ、次の試合でも156球投げた。

ドジャースの黒田投手は当紙の記者に対して以下のように語った。

「日本においても、150球というのは普通じゃない。私の場合は最高でも130球くらいだった。しかしダルビッシュは三振が多いから、結果として球数が増えるのだと思う。そして松坂投手はフォアボールも多いから、さらに球数が増えるだろう。球数に注意を払わないのは日本球界のメンタリティーの一部分なのだ。『投げられるだけ投げろ』とみんな教えられるのさ。だからメジャーに来ると最初は戸惑う。なぜならこちらでは9イニング投げきるのはマレだからね。」

昭和世代の張本氏は、精神的な考え方を尊重するタイプなのだろう。ただメジャーを含めた国際的には張本氏のような精神論は通用しない。それに最近の若い選手を精神論で引っ張っていくのは難しいだろう。

ちなみにLA Timesの推すエンゼルスの移籍候補でナンバーワンはダイヤモンドバックスのダン・ハイレン投手だ。移籍を希望していると言われているアストロズのロイ・オズワルド投手は一流のピッチャーだが、金額がかさむだろうこと、そして年齢が32歳で、ヘイレン(29歳)の方が若いことがヘイレンを推す理由となっている。

加えて、ヘイレンはオズワルトよりも通算で600イニング少ないイニングしか投球していないことも理由としてあげられている。つまり、メジャーでは毎年のイニング数だけでなく、通算で何イニング投げているかも投手の価値を計る重要な指標となる。逆に言えば、投げたイニングが多ければ加齢と同じく、投手の価値を減じるものと考えられているのである。

ボストンの松坂投手が球団と投球数をめぐって一時意見の衝突があったが、そのような投手の価値と投球数の関係を考えれば、そのような衝突の背景がよくわかる。将来松坂が移籍するような場合、彼の通算投球イニングは彼の価値を著しく減じる可能性がある。

もっとも高齢の投手でも活躍する人が大勢いるように、通算イニングが多いからといっていい投球が出来ないというわけでもない。あくまで一般的な傾向というだけの話なのだが

しかし、ダルビッシュもいい条件でメジャーに移籍するつもりなら、多少はイニング数を抑えた方がいいだろう。でも監督が投げろと言ったら、投げざるをえないだろうけど・・・・

 

2010年、松井を加えたエンゼルス打線についてのLA Timesの記事 (2010年4月5日)

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いよいよ4/5にエンゼルスも開幕試合を迎えます。地元紙であるLA Timesでは松井が加入したAngelsの新打線について、「パワーを加えたが、看板のスピードも健在」との長文の記事を載せました。
主力のトリイ・ハンターは「オレはまだまだ走れる」と言いながらも、今シーズンはスモールボールから若干の方針変更を予想しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「BEST OF BOTH WORLDS (スピードでもパワーでもベストだ)

エンゼルスの打線は今シーズン、パワーを増したが、チームのトレードマークとなっている攻撃的な走塁は健在だ。

スピードあるリードオフバッターのフィギンスを失い、パワーを注入したが、それでも長い間、スモールボールと次の塁を果敢に狙う攻撃的走塁を重視してきたエンゼルスの攻撃に変化はないだろう。

新しいリードオフバッター、エリック・アイバーはフィギンスよりもスピードがあり、先週のオープン戦で、右中間へのシングルヒットで一塁からホームインするなど、彼が燃えるようなスピードを持っていることを見せつけた。

2番のボビー・アブレイユは36歳の2009年シーズンに30盗塁決めたが、「まだ自分が22歳の時のようにプレーしている」と語る。3番のトリイ・ハンターは「まだまだオレは走れるぜ」と即答している。

二塁手のハゥイー・ケンドリックと内野のユーティリティプレーヤー、マイサー・イズタリスはスピードがあり、シングルヒットで一塁から三塁を狙えるが、その戦法こそ月曜の夜にミネソタ・ツインズとの開幕戦に突入するエンゼルスの重要な戦略を担う。

エンゼルスは、ア・リーグのユニフォームを着たナ・リーグチームのようだと長い間考えられてきたが、2010年に限っては、過去10年ほどハイスピードではないかもしれない。

マイク・ナポリが捕手を務め、ブランダン・ウッドが三塁を守るとき、エンゼルスの打線は2番から9番までパワーヒッターが揃うだろう。

アブレイユは過去3年、平均17ホーマーを打ってきたし、ハンターは、新しいクリーンアップの松井とともに、25ホーマーは打てる。五番のケンドリー・モラレスはブレークした昨年34ホーマーを放った。

6番のファン・リベラは昨年25ホーマーを打った。ケンドリックは10本は打てるし、ナポリは過去2年、20本ずつ打っている。それにウッドはAAAソルトレークで、チームのホームラン記録を持ち、プレー時間さえもらえればチームに長打で貢献できるだろう。

ソーシア監督は「私の最初の年、2000年よりもさらに長打力を増したように思える」と語るが、その年、エンゼルスでは4人のバッターが34ホーマー以上を打った。「アグレッシブな走塁がなくなると言うかも知れないが、哲学を変えることはない。それはつまり、コートを走り回るスタイルのバスケットボールのチームがあったとして、そこにオールスター級の背の高いポストプレーヤーが2人加わったとしたら、それでこそスタイルを生かすことができるということと同じさ」

4、5,6番に座る松井、モラレス、リベラは足が遅いから速攻型のチームではないかも知れない。さらにナポリとウッドは攻撃的な走塁はしないし、平均以下のスピードだ。

トリイ・ハンターは言う。「でもパワーがある。ツーベースを打てば、2塁に盗塁する必要もないだろう?確かに走塁のスピードは試合の流れを変える。ピッチャーの投球も変える。ピッチャーは必然的にストレート系の球が多くなるからな。」

「でも松井がツーベースを打ち、モラレスもリベラもツーベースを打てば、それこそパーフェクト・ワールドじゃないか。我々はア・リーグとナ・リーグの両方のスタイルを持っていたが、今年はよりア・リーグっぽいチームになるってことさ。パワーのある打撃で、バットで仕事を成し遂げるのさ。」

エンゼルスは昨年、メジャー2位の883得点を上げ、チーム記録を更新した。さらにバントヒット数(34)とシングルヒットで一塁から三塁へ進んだ回数(119回)はメジャートップで、148盗塁はメジャー2位だった。

エンゼルスの打線は得点力を増す可能性があるが、ソーシア監督は得点をあげるためにより次の塁を狙う必要はないかも知れない。

ソーシアは言う。「ヒットエンドラン、ランエンドヒットのようなプレーはこれまでほどは多く見られないかも知れない。今までとは違った方法で毎イニング相手チームにプレッシャーをかけるチームになりつつあると感じている。」

オンベースパーセンテージが.395、114得点、リーグナンバーワンの101四死球と42盗塁を昨シーズンにあげたフィギンスはシアトルと契約し、彼の穴を埋めるのは難しいだろう。しかし26歳のアイバーは、打率.312、オンベースパーセンテージ.353、70得点と14盗塁を昨年記録し、バッターボックスでの経験値は飛躍的に上がった。

ハンターは言う。「アイバーは本当にダイナミックなプレーヤーだよ。彼が出塁すると、見てなよ、フィギンスの2倍は速いぜ。彼はまだ若い。花開けばスゴいプレーヤーになるかもしれない。」

エンゼルスの層の厚さを最も雄弁に語るのはケンドリックだと、ハンターは言う。通算.302の打率を残している彼が7番か8番に座るからだ。

この2塁手は、昨年6月11日に、.231しか打てず、マイナー降格された。しかし3週間後再び昇格したあとはシーズン終了後までの間に.351を打ち、その期間ではメジャー第2位の打率だった。

ハンターはケンドリックについて「オレがここに来た2008年、彼ほど毎回ハードなスイングをするヤツはいなかった。まるで打球がティム・ウェイクフィールドのナックルボールのようにゆがむほどにだ。彼はマイナーに落とされて、ちょっと腹を立てたかも知れない。でもそれは必要なことだった。だからその後、火を噴いたんだよ」

ケンドリックが打線の下位にいることで、相手ピッチャーは火だるまになるに違いない。

「ピッチャーは打順が7番とか8番になると、一息つきたくなるもんだ。しかしケンドリックがそこにいるとそれもできない。スゴい打線だぜ。1、2番はスピードがあって、そこからパワー、パワー、パワー、パワー、パワーときて、最後にまたスピードだ。興奮するねえ。」

 


 

松井の守備デビューについてのLA Timesの記事 (2010年3月23日)

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3/22に松井選手が2年ぶりに守備につきました。ヤンキースを出たのも彼の守備につきたいという希望をヤンキースがかなえようとしなかったからですが、地元メディアであるLA Timesでは松井のAngels初守備に"Matsui gives left field a try but doesn't get any action" (松井はレフトの守備についたが、ボールは飛んでこなかった)との記事を載せました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Matsui gives left field a try but doesn't get any action" (松井はレフトの守備についたが、ボールは飛んでこなかった)

松井秀喜のレフト守備デビューはから騒ぎに終わった。

エンゼルスのレギュラーDHは4イニングの間、素晴らしい好天の芝生の上に立ち、センターのトリイ・ハンターと少しばかりのキャッチボールをした。しかしエンゼルスは4対2でドジャースに勝ったが、打球は飛んでこなかった。

「彼はよく走れていたよ」。松井の評価を聞かれたトリイ・ハンターはこう答えた。

しかし2008年6月以来の守備についたわけだが、その本当のテストは明日の朝、松井が思うようにならないヒザで、ベッドから起きあがった時だろう。

マイク・ソーシア監督は「松井はじっくりと見させてもらっている」と言う。

ソーシアはレギュラーの外野陣をDHで回すことで、足を休ませながらも、打線に絡ませたいと思っている。そのためには松井が時には守備につけるくらい健康であることが必要だ。

松井は、昨冬、フリーエージェントでヤンキースからエンゼルスに来たときに、守備も問題ないと言っていた。

松井は通訳を介して、「常に守備につくことは好影響があると思っている。守備につけば、常にゲームに集中しているし、全てを見ているわけだ。肉体的には当然のこと、リズム、メンタルの面からもゲームに出ていることになる。」

レフトまでの行き方を尋ねなくちゃいけないほどではなかったが、彼が守備につくのは実に久しぶり、―645日ぶりのことで、松井も「ちょっと変な感じがしたね」と認めた。

「いろいろなことが頭をよぎった」と松井は語った。ソーシアは今週中にも再度守らせるかも知れないと言っているが、松井は「でも以前は守備につかないのが当然だったなあと思ったよ」

ドジャースのダッグアウトを通り過ぎるとき、松井は5年間ヤンキースで一緒だったジョー・トーレ監督をからかわずにはおれなかった。トーレは「松井は、レフトにボールを打たなかったのはワザとかと聞いてきたんだよ。だから「もちろんその通り」って答えたさ。松井は特別な男だ。初めて彼に会ったときからそうだった。偉大なチームメートで、全てが素晴らしい。エンゼルスは彼を獲得できて非常にラッキーだと思うよ」

 

もう一人のレフト外野手
松井が5イニングで退いたあと、ドジャースの4人のうち2人が、代わってレフトに入ったマイケル・ライアン外野手のところに打った。しかしその2イニング後、ライアン外野手は打球を追ってゲーリー・パチェット遊撃手とぶつかり、松井同様、フィールドから去ることになった。
 

松井選手を地元メディアを地元メディアはどう取り上げているか (2010年3月10日)

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3/10にアリゾナでのパドレスとのオープン戦でついに松井選手がエンゼルスの選手としてデビューしました。2打数1安打の成績を上げたことで日本のメディアはヒートアップしているようです。そんな松井選手を取材する日本メディアについて地元紙であるLA Timesでは驚きの声を上げて報道しました。

スポーツ面のトップはさすがに今がシーズンたけなわのNBAの記事に譲りましたが、その下にカラー写真入りで、「COVERAGE SACK」というタイトルで長文の記事を載せました。その要約を以下に載せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「COVERAGE SACK」(報道の大きな袋)

日本のメディアはエンゼルスの新しいスラッガー松井が何をするかに目をこらしている。文字通り、彼がつまづくのを待っているかのように。

火曜日の午後、ほんの数名のアメリカのリポーターが松井と話している間、エンゼルスのスプリングトレーニングの施設の外で30-40人の日本のメディアが松井を待っていた。10分ほどのインタビューの最後に(そのインタビューでは新しいエンゼルスの指名打者は、そのストイックな表情に隠されている素晴らしいユーモアのセンスを見せた)、「日本のメディアは、アメリカ人は発しないであろう、どんな質問をすると思うか」と聞かれて、「どんなパンツをはいているかとかじゃないですか」と通訳を通してポーカーフェースで答えたのだ。

冗談を言っているようにも見えるけど、やっぱり本当なの?

どんなささいなことも、たとえパンツのことでも、日本のメディアにとってはニュースバリューのあることのようだ。日本のメディアはこの35歳のプレーヤーの回りを強迫観念にとりつかれているかのように取り囲んでいる。

松井がテンピのディアブロ・スタジアムに朝到着すると、日本のメディアの大派遣団が彼に挨拶するために入り口の外に待ち構えており、彼らは、午後になると今度は彼を見送るために駐車場に移動してくる。

エンゼルスの日本メディアのコーディネーターであるイサオ・ヒロオカによると、「彼らは松井が車に乗り込む瞬間まで彼を追っかける。だって、最後に何かにつまづいて彼が転ぶかもしれないからね。それだってニュースになるんだよ。」

打撃練習の間、リポーターたちは三塁ダッグアウトの前に整列して、松井のホームランを数える。ヒット性の打球やアウト性の打球を数える者もおり、そのバッティング・セッションの打率を計算する。松井がスタジアム後方のエリアに移動すると、日本のレポーター、カメラマンたちも長い列をなして追いかける。

 

「もし松井がフィールドを歩いていて、サソリに刺されたり、ヘビに噛まれようものならそれは大ニュースだろう」とヒロオカ。松井の通訳が、サソリについてメディアに警告したところ、スポーツ報知では翌日「ゴジラ対サソリ」の見出しを打った。

日曜日、松井が初めてラインナップに登場したとき、カメラマンはクラブハウスの外に張り出されたラインナップのカードを写真に撮っていた。

「我々はたった一人のプレーヤーにだけフォーカスしているが、難しいことでもある。何か違うものを毎日探し回っている。」と松井とイチローをカバーするトーキョー・デイリー・スポーツのノブユキ・コバヤシは言う。

松井は課されていることは必ずやる。毎日のように、プレーしようがしまいが、4本ヒットを打とうが、4回三振しようが、日本のメディアと話す。それはヤンキース時代の7年間ずっと続けられ、エンゼルスに来てからも同じだ。

もし有名なアメリカ人のアスリートが外国でプレーしたとして、アメリカのメディアに同じようなことが起こるだろうか。エンゼルスのピッチャー、ジョー・サンダースは言う。「そんなこと想像もできないよ。目の前にいない大勢の人のために責任を負うなんて。タフすぎる」

ヤンキース時代のチームメートだったボビー・アブレイユは言う。「コービー・ブライアントかレブロン・ジェームスのことなら、みんな知りたがるだろうね。」

もしブライアントがヨーロッパでプレーしたらどのように扱うかと聞かれたLA タイムズのスポーツ編集担当のマイク・ジェームスは「そりゃ写真を撮ったり、様子を伝えるために誰かを派遣はするだろうが、それが8ヶ月も続くってことはないだろう」

松井をフォローするメディア派遣団は、全スポーツ6紙、テレビ6局、日刊4紙、夕刊4紙、2つの通信社、ラジオ局1局からなっている。

NHKのコーディネーターであるサム・オノダによると「松井とイチローは日本のスターだからメジャーで彼らの様子をみんな知りたいんだ。ちょっとクレージーにみえるけれど、メディアの間の競争が激しいから、何事も見逃さないようにしている。」

松井は、メディアとの話し合いはクラブハウスの外で行っているが、それはチームメートに気を遣ってのことで、「これはボクがプロ野球選手になったその日からずっとつづいていることだから」と言っている。

松井は一年に一度はリポーターたちをディナーでもてなし、メディアに対してもイチローよりもオープンに受け入れており、良い関係を築いている。

アブレイユは言う「松井は非常にうまくやっている。ナイス・パーソンだし、物静かで謙虚だ。彼はずっとそうだったし、それが彼にとっての日常なのだ」

松井はジャイアンツで332本のホームランを打ったが、彼が敬われているのはそのパワーだけではない。

ヒロオカは言う。「それは彼の人間性だ。彼は野球にかかわる全てを包み込んでいる。選手はメディアとは距離を置くものだが、彼はそうしなかった。良いプレーをしようが、悪かろうが、彼は常にメディアと対話し、決して言い訳はしない。ニューヨークでは、天皇陛下が来るよりも多くのメディアを松井は連れてきたと言われた。少なくとも100人はいたからね。」

ニューヨークで、ヒロオカは日本のメディアとの間に「Rules of Engagement」(軍隊用語で交戦規則)と呼ぶルールを作り出した。松井のプライベートには立ち入らない―松井は2年前に結婚したが、妻のことは一切表に出さない―、球場外では松井を追いかけ回さない、他の選手やコーチの道をふさがない、クラブハウスに押しかけない、他の選手に松井のことばかり聞かない、などだ。

テレビ朝日のレポーター、タカユキ・ヒガは言う。「松井に毎日インタビューするのは簡単なことではない。我々はチーム、メジャーリーグ、ゲーム、全てを日本に伝えようとしている。」

松井を報道するために日本からアメリカに来た人々は、ニューヨークから南カリフォルニアに移ってくることになった。

トーキョー・デイリー・スポーツのコバヤシは妻と二人の息子をシアトルに残しているが、スプリングトレーニング中は2ヶ月間会うこともできない。「今は、もっともきつい時期だよ。でもこれは私にとって、夢のような仕事だし、世界で一番素晴らしい仕事なんだ。イチローと松井には感謝している。彼らのおかげでこの場所にいられるんだから。」

メディアによっては松井を追いかけるために複数のレポーターをアメリカに派遣している。松井は昨年11月ニューヨーク・ヤンキースでワールドシリーズMVP獲ったあと、エンゼルスと1年6ミリオンダラーで契約した。シアトルのイチローも松井と同じくらいのメディアを引き連れている。

松井は、事実上、高校生の時に、メディア騒動をスタートさせた。それはあるトーナメントの1試合で5回も敬遠されたときのことで、ヒロオカによるとそのトーナメントは人気とメディアの注目度という意味ではアメリカのNCAAバスケットーボール選手権に匹敵する。松井は金沢の星陵高校で60本のホームランを打ち、あまりのすさまじさに”ゴジラ”とニックネームをつけられた。そして1992年、読売ジャイアンツにドラフト1位で指名された。ジャイアンツは日本球界ではヤンキースのような存在だ。

松井はジャイアンツで10年間プレーし、クリーンアップを打った。そこで3度のセ・リーグMVPと、3度のホームラン王を獲得し、ジャイアンツを3度日本シリーズ制覇に導いた。彼は日本で332本のホームランを打った。